大阪府大阪市西成区天下茶屋の一人鍋


・・・とにかく腹が減っていた


俺は仕入れた飯屋情報をうっちゃれに伝えたら
西成区は治安に難点があるというので見に来たが予想を上回るコワさだった


しかも・・・追い打ちをかけるようにパトカーが巡回し出す


入るにはひるむなぁこの雰囲気・・・
しかし・・・どの飲屋からもLDカラオケ熱唱が聞こえてくるのはなぜだろう?
でもある種の美意識が感じられる・・・


あった ここかあ


おばちゃん「しゃあ〜い 何名?」

ふたり・・・なんだけど


スイマセン この「牡蠣鍋味噌味」をふたつください


おばちゃん「はいぃ牡蠣ぃ味噌2ぃ!」


注文してしまうと少し気が楽になり店内を見回すゆとりがでてきた


しかし・・・みんなちょっと怖そうな人達なのはなぜだろう?
でもある種の美意識が感じられる・・・


おばちゃん「はーい おまちどう」



おお!


おばちゃん「炊いて味噌が溶けたら食べ頃やから」

ほう


おばちゃん「マグロ食べへんの!?」

うっちゃれ「え あ えーとじゃそれも」



俺らはまわりの活気にあおられマグロすき身なんて頼んでしまった


これで・・・230円か あんがい安いね


ふぅ・・・やっと味噌が溶けた


ズルゥ

おほぅ  これは・・・なかなかよい!
うん!こりゃあ あったまる


すいませーん ご飯もう持ってきちゃって下さい!
あとつけもの

おばちゃん「つけもの何?」
うっちゃれ「何があるんですか?」
おばちゃん「えーとキュウリとハクサイとダイコンと・・・」
キュウリください

おばちゃん「ハーイ」


このおしんこは正解だった
漬かりぐあいもちょうど良い
かきづくしの中ですっごく爽やかな存在だ


よし・・・このご飯をのせて雑炊にしてみよう
うん そう考えれば鍋が小さい分出汁もほど良く、
メシも中サイズなのにやたら多いからちょうどいいぞ


くーっ これですよ

鍋の〆に雑炊が似合うということが今日よくわかったよ


しかし・・・うまかった
できればもっと腹を空かしてから食べたかったな


ああ・・・腹がいっぱいだ 運転しながら眠くならなきゃいいが

北上したら日本橋に寄って店巡りだ


俺達は得体の知れない奇妙な満足感を味わっていた




孤独のグルメ (扶桑社文庫)

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